法人の金銭債権について、下記のような事実が生じた場合には貸倒損失として損金の額に算入することができます。
1.法的な債権の消滅
①会社更生法による更正認可の決定
②民事再生法による再生計画の認可の決定
③会社法による特別清算に係る協定の認可
④会社法による整理計画の決定
⑤破産法による強制和議の認可の決定
⑥債権者集会の協議決定で合理的な基準による負債整理
⑦金融機関等の斡旋で合理的な基準による負債整理
⑧債務超過状態が相当期間継続し、弁済が不能な場合
①~⑦は債権の切捨額が貸倒損失の額となります。⑧は書面による債務免除額が貸倒損失の額となります。
2.全額回収不能の場合
債務者の資産状況、支払能力等からみて全額回収不能が明らかなときは、その明らかになった事業年度において貸倒損失として損金の額に算入することができます。ただし、担保物がある時はその担保物を処分した後でなければ貸倒損失として損金の額に算入することはできません。
なお、保証債務は現実に履行した後でなければ貸倒損失として損金の額に算入することはできません。
3.売掛債権の特例
法人の営業活動から生ずる売掛債権については、下記の場合、その取引先ごとに備忘価額(1円)を付し、その残額について、損金経理することを要件に損金の額に算入することができます。
①債務者との継続的取引停止以後1年以上経過したこと(担保物がある場合には適用できない)
②同一地域に有する売掛債権の総額が取立費用に満たない場合で、催促にも関わらず弁済がないこと